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□    Shall we dance?
(自主課題:6959で7年後)


「ワルツと言えば・・・シュトラウスでしょうか」
書類に向かう彼へと語り掛けてみた。
「うん」
思いの外早くに返事がやって来る。
「いいね」
柔らかな口調から、彼が微笑んでいると判った。怪奇や音楽の話を持ち出すと、何とも上手い具合に釣れてくれるので嬉しい。
「僕と踊りませんか」
「ええ?」
ソファから微笑を向ける僕を彼は見詰めたが、返してくれたのは苦笑に他ならなかった。
「ワルツを?」
「ええ」
「俺が、おまえと?」
「ええ」
他者から長年褒めそやされてきた微笑で頷いたと言うのに、彼はあろう事か、僕を見て吹き出したのだ。
「おい、そういうのには髑髏を誘ってやれよ」
「君の誘いの方が、彼女は喜びますよ」
彼は意外そうに目を大きくして、そうなのか、なんて事を言う。君はもう少し自分の価値を知るべきです。
・・・それにしても、こう度々この部屋を訪れて、他愛もない会話を望む僕のような者を、彼はどんな風に思って見ているのだろう。そろそろ、何かに気付いてくれたっていいでしょうに。
「・・・ふむ、君の好みに関する条件としては、僕は完全無欠なんですがね」
「何の事だ?」
すっかり書類から目を離してしまっている彼。僕は単純にも気分を良くしてしまい、余計な事を口にし始める。
「僕は君ほどではありませんが、音楽の教養はあるつもりです。しかしそもそも、僕という存在自体が、君の好む不可思議と合致するではありませんか」
何だそれ、と怪訝そうにしながらも彼は笑う。
「存在が不可思議って、おまえ、自分で言う事じゃないだろ」
僕の言葉を皮肉と受け取ったのだろうか、彼は何処か優しげに言った。
そんな、妙な所で鋭い感受性で、君は僕を赦してしまうのだ。
「とにかく、隼人くん」
赦されてしまうのなら、一層の事、目茶苦茶に甘えてしまおうか。
「僕が如何に君の気を引こうと躍起になっているか、いい加減お判り戴けませんか?」
「躍起になってるようには見えないぜ」
「それが、実は躍起になっているんです」
さぁそろそろ首を傾げてくるだろうか、と思ったその矢先。
「・・・何故?」
幼さの残る様子で、彼は首を傾いだ。僕は無意識にも、笑みを深めてしまう。
「それは」
「・・それは?」
「・・・・・・ご自分で気付いて下さい」
肝心な所で逃げ出してしまう僕は、飛んだ臆病者だろう。それを笑ってくれるほどに、彼が自惚れ者であればいいのに。
「君の過労を見兼ねて、君の十代目は次の週末に休みを取らせたそうですね」
「それがどうした」
「僕も休みを取りました。ウィーンにでも行きましょうか」
それとも、ツチノコ探しに行きますか、と言うと、彼は大真面目な表情で悩み始めた。

結局僕の勧誘はそれ切りで流れてしまい、僕は無意味な休暇を迎える羽目となるばかりだったのだが。
「聞け、骸!ツチノコが発見されたんだぜ・・・!!」
相変わらず彼の部屋に邪魔しようとした所、キラキラとした声と瞳に迎えられた。
彼の手の中にあるのは、何とも珍しい事に、仕事の書類ではなく今朝の新聞である。
そしてよほど気分が高揚しているのか、僕の所まで走り寄って、ほら、と記事を押し付けてくる。
「それはそれは」
僕としては、君の可愛らしい行動の方が、ずっと喜ばしいのですけれど。
記事を流し読めば、確かに驚愕の発見が描かれている。
「な、すごいだろ」
輝く翡翠で覗き込む彼に笑顔を返して、僕は何らかの一線を踏み越えた。
「では、隼人くん、行き先はウィーンでいいですね」
しばし目を瞬いていた彼だったが、ついには従順に頷いた。

「ただし、ワルツは他に相手連れてこいよ。俺は見ててやるから」
「・・・僕は君以外に興味はありませんよ」
「はぁ?何企んでんだか」
「さて、何でしょうね」



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寸での所までアピールする骸さんと、そんな彼を非情なほど華麗にかわす獄寺くん、という構図が大好きです。
音楽の都うぃーん!いいですよね。
この続きを書きたいけれど、ちゃんと現地を調べてからにします・・
それにしても、ツチノコが出てきたのは自分でもびっくりしました。




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