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□    硝子の棺



これは、遠い未来の話。
世界がすっかり荒廃した、そんな未来の話。


金色の陽の光が、礼拝堂へと降り注ぐ。
その金色は、虫食いのように崩れた壁から何の遠慮もなく堂内へと滑り込み、塵の積もった床を照らしていた。
・・と、固い靴音が響いたのとほぼ同じくして、光の中に埃が舞った。
きらきらと反射を繰り返したそれは、やがて再び床の上へと落ち着いた。
靴音が止まる。

「・・・見付けましたよ」

柔らかな低音が、大気を震わせた。
何世紀もの間、誰一人として足を踏み入れる事のなかったこの礼拝堂に現れたのは、一人の男だった。
男の視線の先には、壇上に横たわる、硝子製の棺。
男はさきのように靴音を鳴らし、棺へと近付いた。
そしてその中を覗き込むように跪く。
男の、丈の長い黒の外套が、床を撫でた。

「・・・・ああ、」

男は、右の赤い瞳から、一筋の涙を零した。
続いて、紺碧の左目から、一筋。
一度流れた涙は、堰を切ったかのように止め処なく溢れ出す。

「・・・僕は貴方を見た事もないというのに」

男が語り掛けるのは、棺の中で眠り続ける、一人の青年。
銀白の髪色が陽の光と溶け合って、幻想のような新たな色彩を創造している。
色素の薄い長い睫毛は、今にも震えて、その奥の瞳を覗かせてくれそうなのに、そんな期待は虚無感を助長するものでしかないという事を、男は知っている。
しかし彼は一瞬でも確かに、青年の瞳の色を知りたい、そう思った。

「何故だろう、とても懐かしくて・・・愛惜しい」

男は黒皮の手套で覆った掌で、そっと、硝子の表面に触れた。
その仕草はあたかも、青年の髪を梳いているようである。
幾筋もの涙痕を残した頬に、更に涙を流して、男は微笑んだ。

「・・・・逢いたかった。隼人・・」
 




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解説。
この「男」というのは、骸さんではありません。。
骸さん「だった」人です。
つまり、幾代か遡った前世に、骸さんとして生きた事のある人です。
彼はなぜか骸さんの記憶と、骸さん以降の前世全てを、右目とともに背負っています。
・・さて、骸さんは、世界の均衡が崩れ始める前に、隼人さんを「永久保存」したのでした。
そしてこの礼拝堂ごと結界を張り、世界の崩壊から彼を守ろうとしていた。
ところがそれも、何世紀も前の事。結界は綻び始めます。
それを合図に、この「男」は、隼人さんとの対面を果たします。
後に続く「男」の科白。
「もしかしたら、貴方への執着が、六道骸という男の記憶を、この魂に守り抜いていたのかも知れませんね・・・」

・・・・こんな話があったら読みたい。(おい!


骸さんは、はーさんを想うばかりに、これくらい狂気染みた事でもしちゃうんじゃないか、とか考えてしまう今日この頃。

最近度が過ぎてすみません。。

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