こんにちは。今週もブログだけ書きにやって来ました。
作文は全然進んでいなくてですね、辛うじて寝落ちの間際までPDF本の校正作業をしているだけの日々です。
先日、AIに文章を批評される機会があって笑、曰く「おまえの文章は説明的すぎて読者がダレる」とのこと。自覚は……あるんだ……知っているぞ……。なぜなら、私自身が読み直しをしながら寝落ちするからだ……。
時々、一次創作界隈をうろうろすることもあるのですが、確かに大体作品の展開が早いよね……。テンポの良さは見習いたいと思いつつ、やっぱり私は「説明」せずにはおれない、不明要素が多いと自分が没入できないタイプだから。
人様の作品を読んでいて、場面が昼なのか夜なのか分からなくなったり、建築物の外観を想像できなかったり、初見オッサンだと思っていた人物が十数行後にレディだと判明したり、することがあって、私はその度に現実に引き戻されてしまい、読書が「作業」化してしまうという体験をした。
でも、現代の小説はそういうのがたいして問題にはならないような印象を受ける、選考の結果などを見ていると。ノリが良くて、苦なく読了できるかが一番の争点かのような(まぁ、膨大な数の作品に目を通さなければならない選考の場なんてそんなものかもしれない)。
私は『ドグラ・マグラ』のような、読むのめっちゃしんどくてダルいけど読み終えたら最高だった、みたいな作品が好きなので、現代の、ファストフードならぬ「ファストアート」は肌に合わない気がしている。
あるいは、単に私の想像力が塵すぎて、与えられた必要最低限の情報だけでは脳内で物語を描けないというだけの現象かもしれない……。
……まぁ、説明しすぎ説は甘んじて受け入れます。理想としてはせめて、『nearby』でやったように「世界観を会話の中で描く(地の文では説明しない)」というのを毎回できたらいいのだけど、なかなか。実力がない。
あと一次創作の場を眺めて驚いたのは、原案は作者が書くけれど、その後の執筆はAIがやっているというパターン。……現代の創作ってそんななんですね……! それ字書きとしておもろいんかなと思ってしまったことは内緒です。まぁ、絵の描けない私が画像生成するのと大差はないのかな。複雑化した創作の世界を知りました……。
はい。
以下は先日言っていた、『春還』完結後に書こうとしていた何か、です。
本当に全然たいした内容ではないのですが、ネタバレを含みますので一応折り畳んでおきます。
二人の赤子を養子として迎え入れた直後の、日常の一幕です(こんなことを想像していました)。
午後の淡い光が、障子戸を通して部屋を仄かに照らしていた。
細い腕に抱いた赤子が、微睡みながらも何かを探すように、ユゥイの柔らかな胸元にふくふくとした頬をすり寄せる。やがて目当てのものを探り当て、小さな口元は繰り返し結ばれては、開かれる。その様子を腕の中に見下ろし、ユゥイは一つの疑念さえ抱かない。ただ美しい唇を微笑させ、衿を緩める。しかし滑らかな素肌を赤子の前に差し出す頃には、はっと青い瞳が翳った。
赤子は安堵の表情で、命綱とも言える体温を口に含む。そして懸命に喉をこくこくと鳴らしたが、次には顔をくしゃりと歪めて泣き出してしまった。お乳が出ないのだ。
「ごめんね……ごめんね……」
ユゥイまで項垂れ、ぽろぽろと泣き出してしまう。と、片割れの泣き声に眠りを妨げられたか、あるいはこちらも空腹を思い出したか、掛け物に包まれ横になっていたもう一人の赤子さえ、小さな身体を一杯に使って大声で喚き始める。ユゥイは途方に暮れた。
そのとき、足音もなく近付いた気配が、障子戸の向こう側に立った。低い声が、入るぞと断りを入れる。するすると静かに滑った戸を、ユゥイは泣き濡れた顔で振り返った。
「ごめんなさい、すぐ、泣かせてしまって……お仕事の妨げに……」
「端から机に向かうのは苦手だ。こいつらの所為じゃねぇ」
苦笑して言う黒鋼は、部屋に入ると戸を閉ざし、小さな寝床で泣き叫ぶ不破丸をひょいと抱き上げた。それから不意に笑みを消し、真摯だが静穏な目でユゥイを見詰める。
「おまえの所為でもない」
「でも、黒様……」
涙の中に、青が溶ける。黒鋼は無言でその目元に唇を寄せ、去り際に、ユゥイの腕に抱かれた藍を引き受けた。逞しい左右の腕にそれぞれ収められた子らは、大声で泣き続けることはないものの、不服そうにぐずっている。硬く厚い胸板に何を求めても無駄だと分かっているのか、数度確かめるように頬をすり寄せはしたが、最後には口を尖らせて臍を曲げてしまう。黒鋼はその様を見下ろして、赤子相手に勝ち誇ったように、ははと軽い笑い声を上げた。その表情は、彼の父によく似ていた。
「そろそろ乳母が来る時間だろう」
二人の赤子を眺めつつ、黒鋼はユゥイに向けて口を開く。ユゥイはそっと衿元を直しながら、もう謝罪は口にせず、彼の言葉に耳を傾けた。
「菊乃が……子が産まれたら、自分もこいつらの乳母になりたいと言っていた。大食いを三人も抱えちゃ身が保たんぞと言ってやったら、そのぶん自分も食うからいいのだと笑っていたが。炊事番が泣くな」
「ふふ……」
濡れた頬を拭って、ユゥイは少し笑みを零す。黒鋼は顔を上げ、その目を細めて相手を見返した。
「すべて抱えようとしなくていい。何人の手を借りようと、こいつらはちゃんと分かってる。自分の命をこの世に繋ぎ留めた“母”が、誰であるか」
「……うん」
ユゥイは自信なさげに、一方で肩の荷が降りたように、息を吐く調子で頷いてみせる。
「いつかきっと、この子たちには真実を話さなければならないけれど。真実を知らされてなお、この子たちが自分を見失わずに生きてゆけるように、向き合い続けるよ。それが、オレにできるたった一つだと思うから」
「……一番大事なことを、それしかできないかのように言うな、おまえは」
微笑して肩を落とす黒鋼に、二人の子らは口々に何かを言い、せめて遊んでくれとでも言うように小さな手を動かしている。両手の塞がった父に代わり、ユゥイはその手をそれぞれ、まだ少し自信なさげに、それでも柔らかく、握ってやるのだった。
(終)
ぼんやり思い描いていたのは冒頭だけだったのですが、うっかり本文らしく書き始めると数行では終われないものですね。……久々に書きました……。
更新のない中、拍手ありがとうございます<(_ _)>
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